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あとがき

 
 ネタバレをする。

 四人の男性と四人の女性にインタビューをした。テーマは(A)「あなたの子ども時代」、(B)「人生の半分くらいの歳」、(C)「最近」の忘れられないこと。

 その会話をもとに物語にしたのがこの展示であり、ここにある二十四のエピソードは八人(展示の左半分が女性四人・右半分が男性四人)の記憶を組み合せたものだ。

 数年前、知人から、「アイスランド人の十人のうち一人は、生涯に一冊は本を出版する」と聞いた。しかも、一般市民の自伝や伝記が書店に並び、それが人気のコーナーだという。それを知った僕は驚きと共にめちゃくちゃ感動してしまった。

 大人になってからだろうか、僕は初対面であってもその人の生い立ちを聞いてしまうようになった。目の前の人は、どういう生き方をしてここにいるのか。今ではそれが僕の最大の関心事であり、それを知れば知るほど「人生って面白いなあ」と心が弾むのである。

 この展示は、今年の四月に横浜で行った展示『線と点』の発想を膨らませたものだ。今回と同様にインタビューをして、それをせっせと物語にしたのだが、それは僕にとって、「一生楽しめるものを見つけてしまった」というほどの喜びと発見があった。

 そして、今回のもまたかみしめたのである。

 誰の人生にも物語があるのだと。

 
 ここで、この展示のさらなる楽しみ方を紹介する。

(一)八人それぞれの正しい人生を妄想してみる。

(二)この展示は前述した年代(A・B・C)ごとに物語を入れ替えても成立するように制作した。その組み合わせは男女合計で百二十八通りに及ぶ。すべてを読み終わると、百二十八人の人生が垣間見られるはずだ。
 

 さまざまな人生を想像することで、あらためて人生の面白さを、そして何よりこれを読むあなたの人生も、かけがえのない一つの物語なのだと感じてもらえたらうれしい。

 性の多様性が叫ばれる時代。前作、今作と制作上の理由から男・女とわけたのだが、今後はさらなる視点をもって、さまざまな人生を追いかけていきたい。



あなたの人生を物語にします(先着五名)

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